私のハスラーを塗って、と彼女が言ったから。
私のハスラーを塗ってくれない?と彼女が言った。
そんなスキル設定が私にあっただろうか?と考えているとトミカのハスラーを取り出し、これに塗ってくれという。
ああ、トミカか。なら、大丈夫だろう。
まかせてくれ!!めちゃくちゃに綺麗に塗ってあげるよ!!
そう大見得を切って、三連休の中日。いまに至る。
彼女とは、転勤初日に出会った。
会社の総務部の所属で入社1年目。目が大きくて色が白くて最高に綺麗な子だ。
ただ、社内の案内をしてもらったのだが、案内が恐ろしく適当で、ちょっと目を離すと掃除用具入れをあけていたり(本人もまだ社内のことがよくわかっていなかったらしい)と、奇行の持ち主であることがほんの数分でわかってしまう不思議ちゃんでもあった。そして、私はそんな彼女に一気に惹かれてしまったのである。
ちなみに、彼女と書いているが、その、付き合ってるとかの彼女ではなく三人称代名詞の彼女である。ただの、片想いである。
そんな彼女が最近スズキのハスラー(カーキー色)を買ったそうで、その色にトミカのハスラーを塗って欲しいというのだ。
この私に・・・!?
一世一代の大チャンス。漢を見せるときがきた。
これは本気で取り組まねばなるまい。そして、絶対に成功させねばならない。
なあに、少年時代にプラモデル作りに興じた私には造作もないこと。
まず、トミカを前に作業手順を検討する。
1.トミカを塗装しやすいようにバラす。
2.黒塗装されている箇所にマスキングを施す。
3.残りの面にカーキー色を塗布する。
4.接着剤で組み付ける
以上。恐ろしいほど簡単である。1日もあれば十分だろう。
そうして作業した結果のゴミがこれです。
つづく。